大学生に人気のバイトである「塾講師」。
「高時給」「たくさん稼げる」とよく言われますし、実際「塾講師としてバイトして、たくさん稼ぎたいな」と思う人もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、「実際にどのくらいの時給なのか」「どの程度の額が稼げるのか」について解説します。
バイトはやりがいも大切ですが、稼げる金額の多さも大切。
塾講師としてどの程度の収入がもらえるのかを知って、計画的に働きましょう！
塾講師バイトの時給はどれくらい？
塾講師の時給は、全国平均だと1331円（2021年12月10日現在、タウンワーク参照）。
バイトの全国平均時給は1074円なので、同じ時間働くのであれば飲食店や小売店などでバイトするより多くの額を稼げるでしょう。
ただし、塾講師の時給はかなり差があり、東京1712円、大阪1986円と都市圏では高く、宮崎県940円と地方では低くなる傾向が顕著に出ています。
地方の塾講師の時給が安いのは、そもそも地方の最低時給が安いため。
全国平均との比較ではなく、その県の平均（上の例なら東京1203円、大阪1132円、宮崎891円）と比較すれば高い時給になりますので、塾講師バイトは時給が高いバイトであるということは変わりません。
とはいえど、せっかく同じ時間働くのであればより時給を多くもらいたいと考えるのは当然の心理。
最低賃金が低い県に住んでいる人は、近くのより平均時給が高い県までバイトしに行くか、あるいは場所を問わないため全国平均に時給が近いオンライン予備校などでバイトをすることを検討してみてもいいでしょう。
個別指導の場合の時給
1対1〜1対3の個別指導の場合、時給はおおむね1000円〜1500円程度が相場。
目安は時給1200円です。
中には3000円を超えるような場合もありますが、「最難関大学・医学部生のみ」や「学生不可」などハードルが高くなります。
また、受験指導塾や高校生の指導だと比較的時給が高く、補習塾や小学生の指導だと比較的時給が控えめになる傾向があるでしょう。
個別指導塾は担当する生徒が少なく、生徒に合わせたカリキュラムを組めるのが魅力。
「1人1人の生徒にしっかり向き合いたい」「コミュニケーション力を伸ばしたい」「受験戦略まで立てられる力を身に着けたい」と考える人に向いています。
集団指導に比べて先生が多く必要なため、「同年代のバイト仲間を作りたい」と考える大学生にもオススメです。
集団指導の場合の時給
集団指導の塾では、時給1500円〜2500円が相場。
目安は時給2000円程度になります。
もちろん個別指導塾と同じくこれよりも高い時給（時給5000円など）も存在しますが、それはプロ講師向けの求人になります。
集団指導は担当する生徒数が多いため、できる生徒とできない生徒両方に気を配りながら授業をしていかなくてはなりません。
また、カリキュラムは塾側で決まっていることが多くなります。
そのため、個別指導塾よりも「プレゼン力」や「集団をまとめる力」、「計画通りに進める力」などが必要になります。
仕事が大変になる代わりに時給も個別指導塾より高くなるため、より稼ぎたいという人や大人数の前で話すことが得意になりたいという人に向いているでしょう。
年間でいくら位稼げる？シミュレーションしてみた！
塾が高時給ということが分かったら、次に「1ヶ月や1年で、具体的にどの程度のお給料を手に入れられるのだろうか」ということが気になってきますよね。
以下では、個別指導塾と集団指導塾、それぞれでどの程度稼げるかを「週2回、軽めに働く」「週4回、ガッツリ働く」時に分け、大体の目安で考えてみました。
個別指導の場合
個別指導で、時給1200円の塾で働くときのことを考えてみましょう。
週2日、1日3時間働いた場合と、週4日、働いた場合で比べてみます。
理由は後述しますが、年収の目安は月収×15で、以下のようになります。
「週2日（週当たり6時間）」なら432000円
「週4日（週当たり12時間）」なら864000円
集団指導の場合
集団指導塾の場合も、時給2000円で考えてみます。
こちらも、年収の目安は以下のようになります。
「週2日（週当たり6時間）」なら720,000円
「週4日（週当たり12時間）」なら1,440,000円
特に時給の高い集団授業で最初からコマ数を多めに入れてしまうと、年度途中に「103万の壁」に引っかかってしまいます。
「途中で先生交代」となってしまわないように注意が必要です。
講習期間は稼ぎ時
集団指導、個別指導それぞれで大体どの程度稼げるかを簡単にシミュレーションしてみました。
この時「なぜ月収×12ではなく、月収×15が年収目安になるの？」と思われたでしょう。
その理由は「講習期間があるから」です。
春休みや夏休み、冬休みには塾で「春期講習」や「夏期講習」が開催されます。
この期間中は生徒の学校もバイト講師の大学も休みなため、朝から晩まで授業が行われます。
夏期講習に合わせて集中講義などが開講され、コマ数も生徒の受講数も増えるので、その分バイト代もたくさんもらえるのです。
どの程度働くかにもよりますが、講習がない月の2倍程度は見込んでも良いでしょう。
ですので、実際は「月収×15」程度が年収になります。
もちろん、頑張ればそれ以上稼ぐこともできます。
講習期間中思いっきり朝から晩まで働けば、月に20万を越すことも夢ではありません。
普段は学校生活やサークルが忙しくて余りバイトに入れない……という人は、稼ぎやすい夏期講習や冬期講習の時期に頑張るといいでしょう。
稼ぎ過ぎには注意！？「103万の壁」とは
塾講師はもともと時給が高めであり、なおかつ講習期間にはまとまって稼ぐこともできる、かなり「稼ぎやすいバイト」です。
しかし、だからこそ気をつけなければならないのが「稼ぎすぎて逆に損をしてしまうこと」。
「103万の壁」「130万の壁」という言葉を聞いたことはないでしょうか？
簡単に言ってしまうと、バイト代で稼いだ額が「103万」、「130万」を超えてしまうと支払わなければならない税金が増えてしまうため、かえって最終的に手元に残る金額が少なくなってしまうケースがあるのです。
大学生の皆さんは、まだ親の扶養に入っている状態でしょう。
その場合、バイトの収入で103万円を超えると、親が子供を扶養することで受けていた税制上の優遇措置（扶養控除）がなくなってしまうのです。
また、自分に所得税や住民税がかかるようにもなります（ただし、これは「勤労学生控除」の手続きをすることで免除されます）。
130万円を超えてしまうと、所得税や住民税の免除がなくなる上に親の保険にも入れなくなってしまうため、自分で国民健康保険などに加入し年金をおさめなくてはなりません。
簡単に言うと、バイトで103万以上稼ぐと、親の払う税金が年間10万円ぐらい（親の収入によって増える税金額は異なります）増え、130万円を超えると、それにさらにプラスして少なくとも年間30万円ほどの税金負担が増えてしまう、ということです。
せっかく稼いでも手元に残る金額はかえって少なくなってしまうため、学生の場合は「年間103万」を超えないように余裕を持って収入計画を立てましょう。
塾バイトで楽しく稼ごう！
他のバイトに比べて時給が高く、自分のスキルアップにもつながる塾バイト。
自分の都合に合わせて働きやすく、夏休みや冬休みに大きく稼ぐこともできます。
しかしそこで気をつけなければいけないのが「103万の壁」。
払う税金が大幅に増えてしまうため、かえって損をしてしまう可能性が高まります。
「稼ぎすぎ」には注意して、楽しく働きましょう！
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- 二木原 恭子
- 元塾講師 家庭教師
大学生から塾講師・家庭教師として活躍。中学受験から大学受験まで幅広い学年を扱い、歯学部にも合格させました。 現在は教育・受験ライターとして、医学部受験専門メディアなどにも寄稿しています。
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