【塾講師必見】エニアグラム・性格タイプ別指導法②～献身家タイプ|塾講師キャリア

この連載シリーズでは、性格類型論の1つであるエニアグラムを用い、生徒の性格タイプに応じて、生徒のやる気を高め、学力向上させるためのテクニックをご紹介致します。エニアグラムについて知識を深め、相手の性格パターンとその傾向が分かるようになれば、指導の幅が広がり、より多くの生徒達を合格へ導くことができるはずです。今回の記事では、9つある性格タイプのうち、2つ目の「献身家」タイプを取り扱い、献身家タイプの子の長所や短所、効果的な指導法、接していく上での注意点等について解説します。「各性格タイプの大まかな特徴」や「タイプ別指導のメリット」については、 ➡「生徒のタイプによって伸ばし方が違う？―エニアグラムの実践―」 の記事をご参照ください。

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献身家タイプの指導法
まとめ

献身家タイプの指導法

エニアグラムによって分類された 9つの各性格タイプには、「向き不向き」や「好き嫌い」、「得意なこと」と「苦手なこと」などに、それぞれ特徴と傾向があります。言い換えれば、 「何をされたら前向きになるのか」「どんなことに動機付けされやすいか」 は、各性格タイプによって異なり、逆も然りということです。そして、これらの特徴や傾向を踏まえた上で、「効果的な指導方法」を実践することが非常に重要ですので、本記事では、以下の流れに沿って「献身家タイプの指導法」の解説します。

①献身家タイプの長所と短所 ②献身家タイプの効果的な指導方法 ③献身家タイプと接していく上での注意点

献身家タイプの長所と短所

献身家タイプの子は、「誰かの役に立つこと」や「人を喜ばせること」を動機として行動する傾向にあり、人から感謝をされることで、さらに高いモチベーションを発揮します。

【長所】

・面倒見がよく、愛情深い・相手の考えや感情を敏感に察知できる・自分の利益より、他者やチームの利益を優先できる・サービス精神が旺盛

といった長所があり、頼み事やお願いを率先して聞き入れてくれる優しい性格の持ち主です。他者に気を配り、常に相手のために自分ができることを考え、行動します。

【短所】

・周囲に気を配るあまり、疲弊しやすい・依存されやすい・頼まれごとを抱えすぎ、パンクしてしまう・自分が何をしたいのか、分からなくなる

一方で、人の気持ちに過敏になり過ぎることで、「自分自身の気持ち」を後回しにしてしまい、依存されたり、オーバーワークの状態に陥ってしまうことがよくあります。また、利他的な行動は得意でも、自分の考えや意志を主張することは苦手ですので、優柔不断に見えてしまう側面もあります。献身家タイプの子を指導する場合は、本人の本音を無理やり引き出そうとするのではなく、「人の役に立ちたい」といった献身性に目を向け、モチベーションを高めてあげることが非常に大切です。では、これらの特徴を踏まえ、献身家タイプの効果的な指導方法を見ていきましょう。

献身家タイプの効果的な指導方法

では、ここからは、献身家タイプの子を指導する上での「効果的な方法」をご紹介します。献身家タイプの子を指導する際は、以下３つのポイントを意識してください。

① 献身的な言動を見逃さない ② 感謝している内容を具体的に伝える ③ メリットではなく、「貢献度」に目を向けさせる

① 献身的な言動を見逃さない

1つの目のポイントは、「献身的な言動を見逃さないこと」です。献身家タイプの子は、良く言えば、気が利くタイプの子が多いのですが、時に、お節介と受け取れてしまうくらい、相手に尽くすことがあります。しかし、それらの行為を、さも当たり前かのように対応することは、原則NGだと覚えておいてください。というのも、献身家タイプにとっては、せっかく相手のためを思ってやったのに、「気付かれなかった」「感謝されなかった」ということが、大きなモチベーションダウンに繋がるからです。そのため、「役に立っていない」と思わせないことが非常に大切であり、献身家タイプの子がしてくれたことは、見逃さず、何度でも繰り返し感謝するように心掛けることをお勧めします。例えば、

・帰り際に、いつも机を綺麗にしてくれる・講師が必要そうな学校の情報を、率先して教えてくれる・役に立ちそうなプリント、過去問等をいつでも渡せるよう、整理整頓してくれている

なら、「いつも、○○してくれて、ありがとうね」「あの時は、本当に助かったよ」と、細目に感謝の気持ちを言葉にして伝えてあげることがポイントです。こうした言動は、一見、学習内容とは直接関係ないように感じるかもしれませんが、生徒の学力伸長には、生徒と講師との信頼関係が大きく関わってきます。信頼している相手だからこそ、指導内容を素直に受け入れてくれますし、より高いモチベーションで、こちらの指示内容を遂行してくれるようになるので、是非、その点を意識してみてください。

② 感謝している内容を具体的に伝える

2つ目のポイントは、「感謝している内容を具体的に伝えること」です。献身家タイプの子がやってくれたこと、実践していることについて、「ありがとう」一言で済ませるのではなく、何が嬉しかったのか、ありがたいと感じたのかを付け加え、感謝の言葉を述べるようにしてください。また、伝える時は、自分を主語にして、ポジティブな感情表現を添えてあげることも重要です。「嬉しい」「安心した」「楽しかった」等、自身の気持ちをストレートに伝え、相手を喜ばすことができたと感じてもらえるようにすれば、献身家タイプの長所がさらに活かされるので、是非、実践してみてください。

③ メリットではなく、「貢献度」に目を向けさせる

３つ目のポイントは、説得する際に「メリットではなく、『貢献度』に目を向けさせること」です。献身家タイプの子は、自身の損得勘定ではなく、いかに「誰かの役に立ったのか」ということを、行動の指標としています。そのため、以下に挙げるような言動は、原則、響かないと考えた方が良いでしょう。

・「順位が上がる」「○○に勝てる」といった競争心に訴えるような言動・「早く終わる」「効率が良い」といった合理性に訴えるような言動・「得をする」「損をする」といった損得勘定に訴えるような言動

それより、 「この参考書も、喜んでるはずだよ」「きっと、おうちの人も嬉しいだろうね」「同じ部活の子も、君を目標にして頑張っているよ」 と他者への貢献度の高さに注目し、本人の努力を褒めてあげるようにすれば、高いモチベーションを維持しながら、学習に励んでくれるようになります。

献身家タイプと接する上での注意点

では、最後に「献身家タイプの子を指導する上での注意点」について触れておきます。献身家タイプの子と接する際は、以下２つの言動を、なるべく取らないよう注意してください。

① 貢献を軽視する言動 ② 自己主張を強要されること

献身家タイプの主な行動の動機は、「他者への貢献」です。逆に、自分本位に物事を考えたり、それを強制されたりすることに、強いストレスを感じてしまいます。そのため、他者との衝突を避け、自分の意見を引っ込めてしまうこともありますが、そのような時でも、 「周りは関係ないよね」「あなたはどうしたいの？」 と、強引に本音を引き出そうとするような言い方は避けましょう。本人の意思確認をしたい時や決断を促したい場合は、 「君の考えを教えてくれると、先生も嬉しい」「周りの人も協力しやすくなると思うよ」 と伝え、他者の利益や貢献に繋がるよう、動機付けすることがポイントです。