塾講師には、当然ですが勉強が得意な人が多いですよね。
そのため、「自分は頭が悪い」と思っている人は塾講師のバイトをやりたくても
「自分にはできないだろうな」
と諦めてしまうこともあるのではないでしょうか。
しかし、実は塾講師には「頭の良さ」以外にも求められる部分が多くあり、むしろそちらのほうが大切なポイントなのです。
今回の記事では、塾講師として必要な学力のラインとそれ以外の要素をお伝えします。
この記事で分かる事
・塾講師に求められるスキル ・頭が悪い、勉強嫌いな人が塾講師ぬ向いている理由 ・学歴フィルターについて
塾講師として必要なのは「学力」だけではない
大学生バイトは、当然ながら今までに仕事として勉強を教えた経験はないことがほとんど。
いわばポテンシャル採用になります。
そのため、面接などでは「今までの経歴」ではなく、「この人なら責任を持って塾講師の仕事をしてくれそうだな」という点のほうが重要になります。
その際に重視されるのが以下の3点。
・熱意
・コミュニケーション力
・学力
塾講師に必要な能力は「学力」だけではありません。
「生徒に教えたい！」と思う熱意と、実際に生徒の理解や気持ちに寄り添った授業をするコミュニケーション力も重要になってくるのです。
熱意
まず見られるのが「教える仕事についての熱意」です。
今までやったことのない、塾講師としての仕事。
慣れるためには努力と試行錯誤が必要ですし、うまくいかないことだって多々あります。
そんな時に「熱意」がないとすぐバイトが嫌になって辞めてしまったり、ただ解答を写すだけの意味のない授業をする先生になったりしてしまいます。
そのため、
「目の前の生徒に対して努力できる人か」
「常により良い授業ができるよう考えられる人か」
であるかが見られるのです。
コミュニケーション力
きちんと受け答えできるかという「コミュニケーション能力」も大切なポイント。
生徒が何につまずいていて、どのような点がわかっていないのかを理解するために相手の気持ちや表現を汲み取る力は重要になるからです。
ただし、誰とでもすぐ仲良くなれるような「コミュ強」である必要はありません。
普通に相手の言うことを理解し、聞かれたことに正しく答えられる能力があり、生徒のやる気を削いだり心を傷つけたりする発言をしない気配りができれば大丈夫です。
最低限の学力
熱意やコミュニケーションが重視されるとは言っても、もちろん学力もある程度は必要です。
「ある程度ってどの程度？」と思われるかもしれませんが、要は「生徒よりも勉強ができていて、自信を持って教えられるレベル」ならOKです。
そのため、どれくらいの学力が求められるかは塾や予備校によって大きく異なっています。
例えば医学部や難関大学への合格を売りにしている予備校であれば、医学部の入試問題を解けるだけの学力が求められますが、小学生や中学生の授業フォローを行う塾であれば、生徒の教科書を見て答えがわかれば十分、ということも。
中でも個別指導や補習塾は、比較的学力よりも生徒への人当たりの良さやコミュニケーション能力を重視される傾向があります。
「あまり勉強が得意ではない」
「難しい問題は自信がない」
という時は、応募する際に塾のHPなどをチェックし、小中学生対象の補習塾を探すといいでしょう。
頭が悪い人、勉強嫌いな人が塾講師に向いている理由
一般的に「頭が悪い」「勉強嫌い」ということはマイナスですが、実はこの要素は塾講師になるうえで大きな武器になります。
なぜかというと、頭が悪い人は、勉強をしているうえで他の人よりもつまずきが多く、今までに苦労をした経験が多い人でもあるからです。
基本的に塾に来ている子は「勉強につまづきを抱えている子どもたち」なので、過去の自分の経験が被るところが多く、自分の経験を活かしたり共感したりしやすくなります。
「勉強が苦手だから塾講師に向かない」のではなく、「苦手だからこそ生徒に寄り添い、わかりやすい授業ができる先生になれる」可能性があるのです。
生徒の「嫌な気持ち」「つまずきポイント」が分かる
人間はなかなか自分の体験していない状況や気持ちを想像することは難しいもの。
そのため、元々勉強が嫌いではなかったり、自分がある程度の難易度の問題まで難なくこなせてしまっていたりすると、生徒に「勉強が辛い」「この問題がわからない！」と言われた際、理解はできても共感するのはなかなか難しくなります。
しかし、勉強嫌いな人や頭が悪い人は、今までに勉強の初歩の初歩でつまずいて嫌な気持ちになったり、
「皆できているのに、なんで自分だけわからないんだろう」
と悔しく思ったりしたことがあるはずです。
自分の実体験があるため、生徒の「勉強が嫌」という気持ちに親身になって寄り添えますし、つまずきやすい部分やわかりにくい部分にも人一倍敏感になれるでしょう。
より生徒の気持ちに寄り添った対応ができる先生になれる可能性が高いのです。
努力の方法が分かる
何かを教える時、特に慣れていないうちは「自分」が説明の基準になりがち。
そのため、自分で無意識にできてしまったことはなかなか他人に説明することが難しくなります。
皆より勉強ができなかったからこそ、頭が悪い人は定期試験や大学入試のためにもさまざまな試行錯誤をしているはずです。
ですから、他の人が意識せずともできてしまったため説明を省いてしまうところまで、しっかりと生徒目線になってわかりやすく教えられるのです。
生徒の成績が伸び悩んでいる場合なども、生徒や伸ばしたい能力のタイプに合わせてどのように勉強を頑張ったらいいか、適切なアドバイスができるでしょう。
学歴フィルターはある？
今あまり偏差値が高くない大学に通っていて「自分は頭が良くない」と思っている人の中には「学歴が良くないと塾講師になれないのでは？」と思っている人もいるでしょう。
いわゆる「学歴フィルター」ですね。
塾講師の学歴はないよりあったほうがいいのは事実ですが、採用の際にそこまで重視されるものではありません。
「その他の条件がすべて一緒で学歴だけが違う2人が同時に応募したら、学歴がいい人の方を雇う」ぐらいの程度と考えていいでしょう。
「『講師は東大生のみ』を売りにしている」などの特殊な塾でないかぎり、基本的に大学名のみで採用と不採用を決めることはありません。
ですから、「今通っている大学の偏差値が低いせいで、塾講師になれないんじゃないか」と心配する必要はありません。
それよりも重要なのは、最初に挙げた「熱意」「コミュニケーション力」「その塾で求める学力をクリアしているかどうか」の3点。
面接に行く前に、志望動機や自分の強みなどをしっかりアピールできるよう準備しておきましょう。
「自分は頭が悪いから」と塾講師バイトを諦めないで！
塾講師になるにあたって、もちろん勉強はできるに越したことはありません。
しかし、大学生バイトの場合それよりも重要なのは「努力できるか」「コミュニケーションがきちんと取れるか」の2点。
補習塾などであればそんなに学力が必要ないケースも多くあります。
また、勉強で苦労した人だからこそ勉強嫌いの生徒に寄り添える、生徒にわかりやすい教え方ができるという強みもあります。
「私は頭が悪いから……」というだけで諦めず、塾講師バイトにチャレンジしてみましょう！
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- 二木原 恭子
- 元塾講師 家庭教師
大学生から塾講師・家庭教師として活躍。 中学受験から大学受験まで幅広い学年を扱い、歯学部にも合格させました。 現在は教育・受験ライターとして、医学部受験専門メディアなどにも寄稿しています。
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