モンスターペアレントとは
モンスターペアレントとは、理不尽で自己中心的な要求をしてくる保護者のことです。
例えば「子供の成績が上がらないから家庭教師代を払わない」「無料で追加講習をしてほしい」など、その家庭にしかメリットがない要求を感情的にしてくる場合などがモンスターペアレントに当たるでしょう。
ただし、注意しなくてはならないのは
「クレームを入れてくる保護者」や「要求の多い保護者」がイコール「モンスターペアレント」ではないという点です。
塾側やあなたに落ち度があり、それに対する正当なクレームであったり、あるいは単純に「もっとこのようなサービスをしてもらえないのか」という問い合わせ、保護者の不安感や情報共有不足からの認識のすれ違いということもあります。
クレームに対して即「モンスターペアレントだ」と身構えてしまうと、相手にもその警戒心が伝わってしまい、さらなる不信感を引き起こしかねません。
常軌を逸した要求をしつこく行ってくるご家庭のみが、モンスターペアレントになるのです。
モンスターペアレントに出会ったら?
講師業をしていて、「モンスターペアレントに出会ってしまったら、どうしたらいいの?」と悩んだ経験のある人は多いでしょう。
以下では、アルバイトの場合とプロや個人で講師をしている場合に分けて対処法を解説します。
1.【アルバイトなら】上司やセンターに相談!
学生アルバイトの塾講師や、あるいは家庭教師派遣センターなどを通じて紹介された生徒の場合は、保護者との間で疑問を感じることがあれば、相手がモンスターペアレントかどうかに関係なくすぐに塾長や派遣センターに相談しましょう。
ポイントは、
「自分で判断しない」「早めに相談する」の2点。
自分でできそうなこと、対処できそうなことでも自己判断で安請け合いはしてはいけません。
塾の方針と異なっていたり本来のサービスではないことをしてしまった場合、その場はしのげても後で「前の先生はやってくれたのに!」とクレームになる可能性があります。
また、家庭教師派遣センターに黙って勝手に追加授業をする……など、契約違反になってしまうケースもありえます。
その場合は、自分自身もアルバイトをクビになってしまうかもしれません。
また、話がこじれてからの相談だと、どうしても解決に時間がかかってしまいお互いの印象が悪くなってしまいます。
自分一人の力でなんとかしようとせず、
できるだけ早く相談しましょう。
もし本当にご家庭がモンスターペアレントだった場合は、代わりに塾長や派遣センターが話をしてくれます。
そうでなくとも、確認することで間違った対応をしてしまうことを防げるでしょう。
「ここまで仕事内容に含めていいのだろうか」と思うことがあれば、その場で即答せず一度上の人に必ず確認しましょう。
2.【社員・個人なら】まずは話をよく聞こう!
派遣業者を通さず個人で家庭教師をしていたり、個人で塾を経営している場合、学校の先生などは他の人にモンスターペアレントの対応を任せることはできません。
その場合は、以下のポイントに注意しながらモンスターペアレントに対応するようにしましょう。
3.言いたいことを聞く
まず大切なのは、
相手の言い分をよく聞くことです。
ここでの「よく聞く」とは、「言いなりになる」ということではなく、「言いたいことをすべて吐き出してもらう」ということです。
もちろん理不尽なクレームなので、聞いていると「そうじゃない」「違うのでは?」と否定したくなることもありますが、まずどのような理由や気持ちで相手は要求をしているのかを聞きましょう。
話を聞く時は
「否定しない」「反論しない」「遮らない」ことが重要です。
途中でこちらの主張を言ってしまうと、相手は自分の言い分を聞いてもらえないと思いヒートアップしてしまいがちです。
要求は理不尽でも原因はこちらの落ち度だったり、相手なりの論理があったりする場合もあります。
気持ちを吐き出してもらうことで、冷静になってもらう効果も期待できるでしょう。
まずは辛抱強く、話を聞いてみましょう。
4.記録を取る
話し合いをするときには、
必ず記録を取るようにしましょう。
「言った」「言わない」の論争になってしまうと更に話がこじれてしまいますし、相手にとって都合のいい部分だけを切り取られてしまうこともあります。
あくまで「お互いのため」あるいは「自分たちが言ったことを守るため」として、録音などをするようにしましょう。
その際には、適宜、「〇〇ということですか?」と相手の話を確認して、
お互いに認識のズレがないようにすることも大切です。
また、可能であればこの時には他の人にも相談し、同席してもらうと良いでしょう。
1対1にならないことで、相手に冷静になってもらえる可能性が高まります。
5.対等な関係で謝罪する
例えば不安にさせてしまう要素があった、ご家庭に充分に連絡ができていなかったなど塾側や教師側に原因があった場合は、
「その件についてのみ」ということを明らかにして、理由や改善策などを添えて謝罪するようにしましょう。
勇気がいることですが、「お互いに対等な関係である」ということを念頭に置き、講師や塾側で対応できないことは「できない」とはっきり伝えることも大切です。
相手に落ち着いてもらいたいからといって、低姿勢になってすべて「申し訳なかった」と謝ってしまうと、「すべて言い分を聞いてもらえた」と勘違いされてしまう原因にもなりますし、相手が調子に乗って更に要求をエスカレートさせてくることもあります。
また、逆に高圧的になってしまうと相手がモンスターペアレントであるかどうかに関わらず塾側の印象が悪くなってしまいます。
悪い噂を流されてしまうこともあるため、冷静に話し合いをしましょう。
「モンスターペアレントにしない」対応も大事
モンスターペアレントに出会ってしまったら、アルバイトの場合は
できるだけ早く塾長や家庭教師センターに相談すること、個人や正社員の場合は
まず相手の言い分をよく聞くことが重要になります。
また、講師と家庭間でコミュニケーションをしっかり取っておいたり、家庭教師等であれば契約書を作成しておくことで、「モンスターペアレントの芽を摘む」ことも大切です。
もし、家庭と教師の信頼関係がしっかり出来ていれば、
「あの先生がそんなことをするなんて、うちの子がなにか大変なことをしでかしたのではないか」「子どもがなにか勘違いしたではないか」
と一度保護者の方も冷静になってくれやすくなります。
家庭教師でトラブルになりやすい振替や追加授業についてなども、最初から契約書で明示しておけば解決しやすくなるでしょう。
講師業をしているうえでは避けられないモンスターペアレントですが、対処法を知って冷静に対応できるようにしましょう!