塾講師・理系担当の先生向け「小4算数 ⑤小数」の指導方法

塾講師・理系担当の先生向け「小4算数 ⑤小数」の指導方法 こちらの連載記事では、小中学生の算数・数学指導における各単元の要点や注意点等について、例題を交えつつ、詳しく解説していきます。 生徒が間違えやすい問題や勘違いの仕方を予め把握し、予防線を張りながら指導することにより、分かりやすいだけでなく、最短ルートで成績UPに繋げることが可能になります。 塾の授業は、学校の授業と比べ、対面で指導できる時間が非常に短いため、限られた時間の中で効率よく学習内容を定着させることが求められます。 そこで、今回は、大手進学塾の理系講師として10年以上の指導経験を持つ筆者が、その過程で培ったノウハウや知識を紹介しますので、これから算数・数学を担当される先生方は、是非、参考にしてみてください。
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塾での理系指導・小4算数「小数」編

当連載記事では、特筆事項のない単元を除き、原則「1記事につき1単元」を目安に、小学4年生から中学3年生までの学習内容を網羅していく予定です。 今回は、小学4年生の第5回ということで小4算数「小数(表し方・仕組み・四則計算)」を取り扱います。 本来、小4算数の小数単元は、「表し方・仕組み・加法・減法」と「小数の乗法・除法」で単元が分かれているのですが、本記事ではまとめて解説を行います。

小4算数 「小数(表し方・仕組み・四則計算)」の出題パターン

では、さっそく「小数(表し方・仕組み・四則計算)」の代表的な出題パターンを見ていきましょう。
① 小数の表し方・仕組み ② 四則計算 ③ 小数倍
出題パターンは、大きく分けて上記の3つあり、各パターンにおける例題と補足事項は以下の通りです。

① 小数の表し方・仕組み

【例題1】0.1を3つ、0.01を7つ、0.001を2つ合わせた数はいくつでしょう。 【例題2】1.87は、0.001を何個あつめた数ですか。 【例題3】2km50mをkmに直して表しなさい。 【例題4】□にあてはまる不等号を答えなさい。 ①3.271 □ 3.311 ②33. 1 □ 3.31  【例題5】次の計算をしなさい。 ①1.98×10 ②24.6÷100
パターンの1つ目である「小数の表し方・仕組み」では、1/10の位(小数第一位)から1/1000の位(小数第三位)程度までの数を扱い、各位同士の関係や単位を用いた表し方等について問われる問題が中心です。 小数の導入部分に相当する内容であり、「0.001が10個で0.01になる」というような、各位同士の関係がきちんと理解できていれば、つまづくことはありません。 最初は、「小数の位が下がれば下がるほど、数が小さくなること」や「1kmが1mの1000個分であること」等、ザックリでも構わないので、感覚的に数の大小関係をつかませてあげることが重要になります。 ただし、あいまいなまま理解していたり、早とちりしてしまったりすると、例題3のような問題で「2.5km」と誤答してしまう生徒も少なくないので注意しましょう。

② 四則計算

【例題1】3.524 + 7.376 = 【例題2】10.4 - 2.571 = 【例題3】3.12 × 45 = 【例題4】49.28 ÷ 16 =
2つ目の「四則計算」は、文字通り、式の中に小数が含まれる加法・減法・乗法・除法の計算を、筆算で解く問題が中心となります。 小学4年生の小数計算では、原則、加法と減法は「小数と整数or小数同士の計算問題」、乗法と除法は「小数と整数のみの計算問題」で構成されています。 「小数同士の乗法と除法」に関しては、小学5年生からの学習内容として引き継がれるため、その布石に相当する単元でもあります。 中でも小数の除法計算は、つまづく生徒も多く、小数分野の「鬼門」といっても差し支えないので、4年生時点でしっかり定着させることが重要です。

③ 小数倍

【例題1】50mは、40mの何倍でしょう。 【例題2】120kgは、300㎏の何倍でしょう。
3つ目の「小数倍」は、例題で示したように、「AはBの何倍でしょうか」と問われる文章題です。 ここでのポイントは、これまで答えが「整数」のみだった文章題が、小数計算をできるようになったことで、答えが「純小数(1より小さい小数)」や「帯小数(1より大きな小数)」になることがあるという点です。 言い換えれば、今まで文章の内容を理解していなくても、「なんとなく答えが整数になりそうな組み合わせ」で立式し、「たまたま正解していただけ」という生徒は通用しなくなるということを意味しています。 ただ、4年生時点においては、上記のように何倍かを問われるシンプルな文章題が中心ですので、ここでしっかり、「文章内容に基づき論理的に立式する」ということを教えてあげると良いでしょう。
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指導上のポイントと注意点

では、次に小4算数の「小数」を指導する上でのポイントや注意点等についてですが、ここでは、多くの生徒がつまづきやすい「四則計算」を中心に、以下の流れで解説します。
① 加法・減法の指導ポイント ② 乗法の指導ポイント ③ 除法の指導ポイント

① 加法・減法の指導ポイント

1つ目の加法・減法の指導ポイントは、シンプルに「小数点の位置を揃えてから筆算すること」です。 小数点の位置を揃えることさえ気を付ければ、後はこれまで習った通りの繰上り・繰り下がりの計算をするのみとなります。 ②のように、整数の場合も「14」を「14.00」と表記すれば、同様のルールで対応することができます。

② 乗法の指導ポイント

2つ目の乗法も加法・減法と同じく、ルールは単純で「小数点の移動回数を数えるのみ」となります。 「計算前に小数を一度整数に直す→小数点を移動させた回数を把握→答えを書く時も同じ回数分、小数点を移動させる」という手順で解けば、簡単に答えを導くことができるので、つまづく生徒はほぼいません。 また、小学5年生で習う「0.2×0.03」等の小数同士の乗法も同様の法則で解けるため、4年生時点でしっかり固めておくと後々楽になります。 但し、こうした指導方法は、いわゆる「理解」よりも「解ければOK」という考え方を優先した指導方法でもあるので、理屈や仕組みを教えることも忘れないようにしましょう。
「12×0.3」なら0.3は「0.1が3つ分」つまり「0.1×3」となるため、 「12×0.3」は「12×3×0.1=36×0.1=3.6(0.1が36個分で3.6)」である
と教える方が理解のさせ方としては正しいので、導入部分ではこうした解説も重要になってきます。

③ 除法の指導ポイント

3つ目の乗法の指導ポイントは、計算前に「小数点を上に上げておくこと」に加え、あまりを求める際は「もとの位置から小数点を降ろす」という点です。 小4算数の除法では、「小数÷整数」を基本形とし、「わり進み」「商の四捨五入」「あまりを求める問題」という4つのバリエーションが存在します。 中でも厄介なのは、「商の四捨五入」と「あまりを求める問題」であり、四捨五入の位置を間違えたり、あまりの位を間違えたりすることがよくあるので、演習量を確保し精度を上げていくことをお勧めします。
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まとめ

今回は、小4算数の「小数」における指導の手順、ポイント及び注意点等について、解説させて頂きました。 次回は、小4算数の「分数」を取り扱う予定です。 最後まで、本記事を読んでくださり、誠にありがとうございました。 【登録ボタン】
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この記事を書いた人
イトウ
元塾講師

過去に大手進学塾で正社員(室長・エリアマネージャー兼任)として7年間働いておりました。 教育、受験業界に関して、専門的な知識があります。

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