塾講師・理系担当の先生向け「小4算数 ⑩立方体・直方体」の指導方法

こちらの連載記事では、小中学生の算数・数学指導における各単元の要点や注意点等について、例題を交えつつ、詳しく解説していきます。 生徒が間違えやすい問題や勘違いの仕方を予め把握し、予防線を張りながら指導することにより、分かりやすいだけでなく、最短ルートで成績UPに繋げることが可能になります。 塾の授業は、学校の授業と比べ、対面で指導できる時間が非常に短いため、限られた時間の中で効率よく学習内容を定着させることが求められます。 そこで、今回は、大手進学塾の理系講師として10年以上の指導経験を持つ筆者が、その過程で培ったノウハウや知識を紹介しますので、これから算数・数学を担当される先生方は、是非、参考にしてみてください。
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塾での理系指導・小4算数「立方体・直方体」編

当連載記事では、特筆事項のない単元を除き、原則「1記事につき1単元」を目安に、小学4年生から中学3年生までの学習内容を網羅していく予定です。 今回は、小学4年生の第10回ということで小4算数「直方体・立方体」を取り扱います。
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小4算数 「立方体・直方体」の出題パターン

では、さっそく「面積」の代表的な出題パターンを見ていきましょう。
① 頂点・辺・面の数 ② 垂直と平行 ③ 展開図・応用問題
出題パターンは、大きく分けて上記の3つあり、各パターンにおける例題と補足事項は以下の通りです。

① 頂点・辺・面の数

小学4年生の算数では、新たに「空間図形」を取り扱います。 「頂点・面・辺」「見取り図・展開図」などの空間図形で用いられる用語や「直方体」と「立方体」の定義、 面や辺との「平行・垂直関係」などについて学習します。 頂点・辺・面の数に関する問題では、「同じ長さの辺は何本あるか?」「頂点の数はいくつか」など、基本的な理解を問われる問題が中心ですので、あまり難易度は高くありません。

② 垂直と平行

2つ目の「垂直と平行」は、面と面、辺と面、辺と辺の「垂直関係」「平行関係」を問われる問題です。 線分の平行と垂直の意味については学習済みですが、これらを空間の中で理解をしていくため、難易度はやや高めとなります。 また、「頂点イ」「面アイウエ」「辺エク」などの「頂点・辺・面の表記の仕方」にも不慣れである生徒が多いので、ある程度、練習が必要になります。

③ 展開図・応用問題

3つ目の「展開図」では、展開図を組み立てた後の辺や面の関係を問われる問題が中心です。 展開図を見て、「どことどこの辺が重なるのか、どの面とどの面が接すのか、平行関係になるのか」など、頭の中で図形を組み立てる想像力が問われます。 組み立ての過程を示すことが難しく、黒板やホワイトボードでの説明にも限度があるため、場合によっては、実物の展開図を用意して目の前で組み立てながら説明することもあります。 応用問題では、図に示したような長さを問われる問題や面積との複合問題などが出題されます。 また、複数の展開図が示され、この中から「立方体が完成するのはどれか」など、かなり難易度の高い問題も 多く、どこまで扱うかは塾によって異なります。
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指導上のポイントと注意点

次に「直方体・立方体」を指導する上でのポイントや注意点等について解説していきます。
① 綺麗な図を書けるように練習する ② 指示語を極力使わない ③ 身近な「物」でイメージさせる

① 綺麗な図を書けるように練習する

1つ目の指導ポイントは、講師自身が「綺麗な図を、いつでも書けるように練習しておくこと」です。 指導内容以前のことになりますが、空間図形に限らず、図を綺麗に書けるか否かは「授業内容の分かりやすさ」「講師への信頼度」に大きく関わってきます。 たかが「図形」と思われるかもしれませんが、講師が黒板やホワイトボードに書く板書も立派な「塾の商品」の一部です。 線が曲がっていたり、大小関係が明らかにおかしい図形を書いたりすると、生徒にとってはノイズになりますし、講師への信頼度も低くなってしまいます。 特に、空間図形は図の綺麗さが顕著に出やすい学習分野であり、高学年や中学生になると、より高度かつ複雑な空間図形の問題解説を行うことにもなるので、練習は必須と言えるでしょう。

② 指示語を極力使わない

2つ目の指導ポイントは、説明時に「ここの面」「この辺」など、指示語とセットで説明を行わないように注意することです。 図形問題の解説を行う際は、多少面倒でも、必ず「面○○○○」「辺○○」など、正しい表記の仕方で場所を示すと同時に、生徒にも同じような言い回しを徹底することが非常に重要です。 授業中に指示語が多くなってしまうと、図示した場所を見逃した生徒が授業の展開に付いていけず、「今、何の説明をされているか」分からない状態になってしまいます。 特に集団授業では、板書を写すことに気を取られ、下を向いたまま話を聞いている生徒も少なくないので、このような現象が起こりやすくなります。 解説を行う時は、一旦手元の作業を中断させ、全員がこちらを向いたことを確認した上で、指示語をなるべく使わないようして説明を始めるようにしましょう。

③ 身近な「物」でイメージさせる

3つ目の指導ポイントは、「身近な『物』を使い、空間図形をイメージさせること」です。必要に応じて、実物の立方体や直方体、展開図を用意するのも良いでしょう。 例えば、辺と面との関係であれば、机の板と脚で説明したり、面と面であれば、ノートや下敷きを2枚用意し、垂直、平行関係を示したりすれば、具体的なイメージを伴って空間図形を理解することができます。 展開図も同様に、テキストの問題を拡大コピーして、実際に組み立ててみると、「どの辺とどの辺が接するのか」「どの面が上にくるのか」など、イメージ力のアップにつながります。 小学4年生以降の空間図形では、「角柱」「円柱」「錐体」などを扱い、さらに「体積」「切断面」「最短距離」などの学習へと発展していきます。 こうした、空間図形の想像力や辺・面の表記方法、垂直・平行関係の理解などは、その後の空間図形学習にも繋がってくるので、是非、これらの指導ポイントを意識し、実践してみてください。
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まとめ

今回は、小4算数の「直方体・立方体」における指導の手順、ポイント及び注意点等について、解説させて頂きました。 小学4年生の学習指導ポイントの解説は、これにて以上となります。(「変わり方」「折れ線グラフ」「整理の仕方」は、特筆事項が少ないため、割愛します) 次回からは、小学5年生の学習指導へ移行し、初回は「小数(かけ算・わり算)」を扱う予定です。 最後まで、本記事を読んでくださり、誠にありがとうございました。
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この記事を書いた人
イトウ
元塾講師

過去に大手進学塾で正社員(室長・エリアマネージャー兼任)として7年間働いておりました。 教育、受験業界に関して、専門的な知識があります。

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