塾講師という仕事は、否応なく生徒と関わるものです。
もちろん子どもと接するのがもともと好きだという方は結構なのですが、塾講師を始めようとされている方の中には生徒との関係をうまく構築できるか不安で、一歩を踏み出せない方もいらっしゃるかと思います。
塾講師という仕事の性質をつかみ、何が求められているのかを正しく認識して最高の講師デビューを飾るためにも、ぜひ最後までお読み頂ければと思います。

不安なのは当然
本題に入る前に、塾講師に限ったことではありませんが、何か新しいことを始める時というのは不安になって当たり前なのです。
ましてや塾講師となれば、生徒から見れば誰もがいきなり「先生」ですから、プレッシャーを感じる方がいても不思議ではありません。
不安を払拭するためには、行動すること、実際にやってみることが大切です。
この記事では、生徒と信頼関係を築くための考え方を解説しています。
塾講師という新しいステージに踏み出すためのお力添えになれば幸いです。
それでは、さっそく塾講師という仕事の特徴を把握するところから始めましょう。

塾講師という仕事の特殊性
ある意味、塾講師は少し特殊な職業であるといえます。
詳しくご説明します。
一般的な仕事のイメージ
まずは、一般に仕事というものに対してみなさんが抱いているであろうイメージを洗い出しておきましょう。 入社したら、まず業務に慣れるまでは人の指示に従って仕事を覚えていきますよね。 なぜなら最初は右も左も分かりませんから。 業務の基礎がある程度身についたら、人の言うことを聞くばかりではなく自ら仮説を立て、自分が正しいと思ったこともどんどん実践していけばスキルはグングン高まっていきます。 さらに実績を積んだら、今度は誰かを育成する立場になります。 これまでの経験や、自分が困難を乗り越えてきたプロセスなどをもとにやる気を引き出したり仕事のやり方を伝授していきます。新人なのにマネジメント!?
しかしながら、塾講師の場合そうはいきません。 講師として、集団塾なら教壇に立った瞬間、もしくは個別塾なら生徒の隣に座った瞬間から、みなさんは「先生」であり、目の前にいる生徒が成績アップないしは志望校合格という成果を出せるよう育てる必要があります。 人を育てる業務というのは一般にマネジメントと呼ばれており、主に管理職やそれ以上の役職に就いている人間が行うものです。 それを塾講師は、就業初日から遂行しなければなりません。 極端な言い方になるかもしれませんが、塾講師を長年経験していようと初日あろうと、生徒から見たみなさんは「先生」であることに変わりありません。 ここでひとつ言っておきたいのが、この記事は不安を煽るような趣旨で書いてるわけではないということです。 塾講師として生徒から求められる存在になるためにはどうすればよいかをきちんと把握して頂くことが目的なので、必ずこの続きも参考にしてください。
塾講師に求められるマネジメントとは
では、塾講師は一体どのようにして生徒を育てればよいのでしょうか。
ここでは4つのステップに分けて、塾講師に求められるマネジメント方法について解説します。
まずは生徒にどう育って欲しいのか、指導のゴールを作る
人を育てるためには、その人にどうなって欲しいか、理想像がないと育成の指針が固まりませんよね。 みなさんがこれから関わっていく生徒をどのように育てるか、目的は人から押し付けられたものであってはならないと考えています。 あくまで参考として、筆者が塾講師の業務に携わってきて得られた一つの答えは、「自分で努力できる人間に育て上げる」です。 わからない問題に出くわしたらどのように対処するかを伝えたり、単なる問題の解き方だけではなく結果を出すための考え方を伝えたりすることで、今後の人生において受験勉強よりもさらに手強い問題に出くわした時、生徒が自分の力で方針を立て、解決策を探せるような人になって欲しいと想いながら指導していました。生徒と2人で目標を設定し、常に共有する
生徒にどのような人間に育って欲しいのかイメージできたら、今度は生徒と一緒に2人が目指すべき目標を決めましょう。 やはり塾の仕事ですから、次の定期テストで〇〇点アップといったものや、〇〇大学合格といった学業に関する目標が標準的ですし、実際それで十分です。 ポイントは、講師と生徒が同じ目標を共有するところにあります。 なぜなら、講師と生徒が別々の方向を向いてしまうと、勉強の進め方や受験に対する考え方が食い違ったときに、お互いの信頼が揺らいでしまうことにもなりかねないからです。 たとえば、生徒が目的意識を持って〇〇大学を目指して勉強しているのに、先生だけがより偏差値の高い△△大学を意識して指導してしまうと、チグハグな感じがしますよね。 同じ方向を見てくれない講師が生徒から信頼を寄せられるのは難しいでしょう。 そのため、講師は必ず生徒と目標を共有することが必要です。目標達成には何が足りないかを分析し、生徒との共通認識まで落とし込む
講師と生徒が同じ方向を向くことができたら、次は目標を達成するうえで何が足りていないのかを分析しましょう。 足りていないと聞くとネガティブなイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、裏を返すとその点を克服すれば目標を達成できる、もしくは目標達成に一歩近づくことができると考えれば、課題の洗い出しというのは非常に前向きな作業であると理解して頂けるのではないでしょうか。ちょっとした進歩でもきちんと言葉に出して伝える
また、ほんの少しの進歩でもしっかりと言葉にして伝えてあげることも大切です。 多くの人間は他人にそれほど興味がないものです。 みなさんがこれから担当する生徒も、些細な進歩にまで目を向けて認めてくれる人はそうそういないはずです。 たとえ目を見張るほどの鮮やかな解法を教えてあげられなくても、きちんと生徒のことを見ていて前向きな言葉をかけてあげることができれば、みなさんがその生徒を担当した意義は十分にあると思います。
まとめ
ここまで、塾講師が生徒との間に信頼関係を築くための考え方を解説してきました。
そのためにはまず、塾講師という仕事はたとえ新人といえども「先生」としてのマネジメントの力が求められるという特徴を認識する必要があります。
そして塾講師が身につけるべきマネジメントスキルについてご紹介しました。
まず初めに、自分の指導によって生徒にどのような人になって欲しいのかを先生自身が思い描くところからスタートします。
次に生徒と一緒に目標を設定し、先生は常に生徒に寄り添い、同じ方向を向いてあげることを忘れないでください。
目標が共有できたら、達成のために現状何が足りていないのか、課題を洗い出すことが求められます。
さらに、日々のちょっとした進歩でもきちんと認めてあげることにより、生徒は先生がちゃんと自分の成長に目を向けてくれているんだと感じ、信頼してくれます。
生徒と上手に接することができるか不安な方も、この記事を参考に、思い切って塾講師としてデビューされるきっかけになることを願います。
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